福島原発事故・Monreal講演・諸問題・ドイツ反応

by ihst | 4月 4th, 2011

東北関東大地震と福島原発事故による被害は地震以来すでに25日になりますが、大規模広域被害と放射性物質の拡散によってなお深刻な事態が続いています。
 若干の原発関連の情報提供と意見表明を紹介します。

(1)米カルフォルニア大B.Monreal教授が3月16日に原発に関する基礎知識の講演会を開催

。適切な内容だということで日本の素粒子物理学者たちが翻訳し、閲覧できるようになっています。http://ribf.riken.jp/~koji/jishin/zhen_zai.html ただ、注意すべき点は3月16日時点の講演ということと、その後若干の翻訳上の改訂がありますので、閲覧上はHP上で留意点も併せて見て下さい。これからダウンロードできます。
 また、この講演は福島原発事故は、チェルノヴイリのようにはならない(原子炉方式は別にして)ということが主眼であるようで、これで現実の「福島」周辺の危険性や問題点を全面的に解析したものではないということです。

(2)緊急炉心停止装置が働き、チェルノヴイリのようにならないとしても被害は甚大であること

を無視すべきではありませんが、今後の被害拡大を防ぐためには、測定データや事故後の放射性物質の拡散シミュレーションデータなどきちんと公開されていないことは非常に問題で、こういうことでは、公表データの信頼性も疑われかねなくなります。IAEAの飯舘村での測定データに、ただちに噛みついた後の経由も不透明です。前から主張しているように、東電や一部の政府関係者がデータの判断権を握るのではなく、国内外の専門家が「社会的属性」とは」関係なく、科学的に議論できる科学者の組織を早く作り、現在の社会がもっている科学的な力を総結集することです。その際、従来原子力や政府施策に批判的であった科学者を切り捨てないことです。これは、原発サイトでの事故処理だけでなく、周辺住民の被曝問題に関しても同様です。「直ちに被害を与えるものではない」式の瞬間的だけではなく蓄積および予測を考慮した説明をどうするか、ICRP(国際放射線防護委員会)基準の問題、国内の暫定値の問題等きちんと議論すべきでしょう。

(3)東電には、人間尊重の考えをさらに徹底して事故処理に当たらせるべきです

。作業中に測定器を持たせなかったなど、論外です。どうしてこんな考えになるのでしょう。かっての「原発ジプシー」的な下請け作業員へのしわ寄せ思想が未だに、しかも国民注視の現在、堂々と行われるなど、信じられないと言わざるをえません。これで「東電の技術者であることに誇りをもてる」などどうして言えるのでしょうか。こういう思想では、事故処理もあいかわらずちぐはぐで後手後手に終始したり、満足な事故処理はとうてい期待できません。

(4)事故処理は、上記(1)に説明される「炉心の科学」問題だけでなく、技術的問題であり、体系的発想が強く要求されています。

この点からの対応上の再検討と、そのための全国的および、部分的にはすでに始まっていますが国際的規模での技術的力と、東電を超えた技術者を集めての対策体制をとることを望むものです。

(5)高橋智子「原発事故で何を語るのか」

高橋智子さんが稿を寄せて頂きました。(↑クリックして下さい。)

(6)ドイツのNagase-Reimer Keikoさんからはドイツのリアクション_20110401を知らせて頂きました。(←クリックしてください)
 また、永瀬さんからは、ライプニッツ共同体やフンボルト財団、マックス・プランク研究所などのドイツの科学者が日本の科学支援をアピールする運動を展開しているとの情報も知らせて頂きました(→NIPPON Science Support Network

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