by ihst | 6月 4th, 2011
東京電力の史料館について、神奈川新聞が次のように報じていますので紹介します。
・・・・・・・ 10万点に上る電気事業の歴史的資料を保存、公開する東京電力の「電気の史料館・文書館」(横浜市鶴見区)が、東日本大震災で休館したまま、再開のめどが立たない。原発事故の補償のため東電は大規模なリストラに着手しており、両館の存続自体も白紙状態にある。専門家は貴重な資料の散逸を懸念するとともに、事故の説明責任を果たす場として、むしろ積極的に再生するよう望んでいる。
両館は東電の50周年を記念し、2001年に開館した。展示品の目玉である旧式の鉄塔、発電機などの実物や、前身である「東京電燈」の設立(1883年)以降、現在までの文書を所蔵している。一部は国の近代化産業遺産に認定され、研究者の来館も多い。
しかし、震災のあった3月11日以降、一般公開は中止に。高橋由多加館長は「原発事故を一日も早く収束させることを優先し、節電にも貢献するため」と説明する。
職員の一部は既に他部署へ異動し、現在は学芸員ら、最小限の人員で資料管理に当たる。高橋館長によれば「経営の場で、まだ今後を検討する段階に至っていない」という。
懸念されるのは、所蔵品の行方だ。そもそも、これらの多くは単なる歴史遺産ではない。経営体制の変遷や、発電所の建設過程を記録した文書が多数あり、進行中の原発事故に対しても重要な意味を持つ。
学習院大大学院アーカイブズ学専攻の安藤正人教授は、東電への批判が高まっている今こそ、両館を活用すべきだと提案する。「情報公開の拠点として強化すれば、東電の信頼回復、再生につながるはずだ」
求められるのは、蓄積された情報を冷静に分析すること。安藤教授は「二度とこのような事故を起こさないように、過去の記録を徹底的に検証し、事故の根本原因を究明することが欠かせない」と強調する。その大前提は、資料を確実に後世に残すことにある。
◆電気の史料館・文書館の所蔵品 東電の前身・東京電燈と官庁の間で交わされた命令書類や、第2次大戦を機に電力事業が統合再編されたことを示す文書、発電などにかかわる技術記録など。歴史遺産としては、明治時代に東京・銀座に設けられたアーク灯の様子を描いた錦絵、エジソンの直筆メモなどがある。
以上・・・神奈川新聞カナロコ2011年5月27日 http://bit.ly/kDo8fcより(http://twitter.com/#!/meiji1868/status/73982764566851584より重引)