『自然科学教育の発展をめざして 田中實の成果に学ぶ』

by ihst | 12月 29th, 2012

東京科学教育研究所編『自然科学教育の発展をめざして 田中實の成果に学ぶ』同時代社 2012.12.28  を寄贈頂きました。

  *著者:中村啓次郎、長谷川純三、松井吉之助、岩崎敬道、中村敏弘、小島昌夫、武藤徹、三井澄雄、北林雅洋、兵藤友博
 * 内容:田中實と科学教育論、田中實の自然科学教育論 などの論考
 *以下< はしがき>からの抜粋です・・・・。
・・・・・・・・・・・「学校教育の存在意義は、学ぶに値する内容のある授業、教えるに値する内容を持つ授業、つまり学ぶ子供たち自身が日々成長、発達を実感出来る授業を実現することで、子供たちにも。親たちにも認められるのではないでしょうか。 ところが、今日の日本の学校は、’理科離れ’、’学力低下’、’いじめ’、などという学校教育の存在意義を疑わせる悲しい話題で、日々マスコミに採り上げられています。 この現象は、授業内容の充実、教育予算の増額などという当然採るべき対策を採らず、逆に’科学の方法重視の現代化’、’進路の多様化’、’個性の尊重’、’個別化’、はては低学年理科を否定し、’生活科の新設’、’ゆとり教育’などという美名をかかげた文部省・文科省’学習指導要領’が教育内容を空洞化、些末化、反科学化し、拘束性を強化した結果、もたらされた現象です。さらに結果を子供たちの’自己責任’と”すり替えている”ことも見逃せません。  本書は、このような深刻で広範囲の困難な問題の解決をはかる有効、適切な研究・実践を導く諸理論が50余年前からわが国で提起され、それを基にして、さらに大きな理論的、実践的成果が導かれていることを、広く理科教師の皆さんはもちろん、科学者、教育研究者の皆さん、教育に関わる多くの方々にお伝えし、一日でも早く正常な学校教育、科学教育を取り戻すことを願い、東京科学教育研究所が企画したものです。     ところで教育の荒廃は、今日だけでなく、敗戦で全国的に実施された米国由来の’生活単元・問題解決学習’によってもたらされ、大きな社会問題にもなりました。このような社会状況の下で、自然科学教育の重要性に気づかれた先輩たちが、1954年11月に科学教育研究協議会(略称 科教協)を創立され、’理科は自然科学を教える教科である’、という理念を高く掲げて、研究・実践を重ね、様々な理科教育をめぐる問題の解決に大きな役割を果たされてきました。・・・・(略)・・・これらの科教協の諸成果をもたらした研究・実践の理論化において中心的役割を担われたのが、故・田中實先生(1907年ー1978年)です。・・・(略)・・」(松井吉之助)

* 田中實著作目録(全)1932年~1990年 

も収録されています。多大な労力の産物で助かります。ただドイツ語論文の著作タイトル表記にはかなり誤植があります。次版では修正していただくとありがたいです。ドイツ語が堪能であられた田中實先生のためにも。

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