国の原子力委員会や原子力安全委員会の元委員・福島原発事故についての緊急建言
国の原子力委員会や原子力安全委員会の元委員らが、4月1日、記者会見し、原子力の利用を先頭に立って進めてきた立場から国民に陳謝するとともに、政府は国を挙げて事態に対処する強力な態勢を作るべきだなどと訴えた。(読売報道→建言
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仏Arevaの説明・原子力安全委員会と保安院の無力・原発内被曝作業・データ/水素爆発?事故「メカニズム」
(1)フランスの原子力企業Arevaは、専門家を派遣してきましたが、
(CEOも来日)、そのArevaの今回の福島原発事故の解説がダウン・ロードできます。http://www.scribd.com/doc/51665683/Le-document-d-Areva-sur-Fukushima (このサイトの、1行目のPLAY NOW やDOWNLOADは無視し、右側の欄のdownloadをクリックして下さい。facebookの登録を要求される場合もあります。)経過を組み込んだPPTです。東電からは情報リリースが少ないとコメントがあります。
(2)日本の原子力安全委員会が能力不足であり、保安院が東電追随
に終始している点での説明記事が、本日4月5日の朝日新聞夕刊に掲載されています。天下り体制で安全委員会や保安院の仕事ができるかという批判は前からありましたが、今は機構いじりをする余裕はありませんので、それはさておいて、有能な内外の科学者・技術者を集めて衆知を結集する(現代科学および技術の最前線を組織する)方策を早くとるべきです。東電の枠を超えての体制を!
(3)4月4日低レベル放射性処理水11500トンを意図的に海に放水
漁民の了解や管轄の農水省との相談もなく、「緊急でやむをえない」というが、それまでのデータを公表しないでおいて緊急といわれても漁民から抗議文をうけるのも当然か。また、これで、新たな漁民被害と国際的問題に入った。今までの外国の「暖かい支援の眼差し」が「海を汚す日本」という冷たい視線に変わらぬことを願うばかり。陸地でも20km以内、30km以内という避難、自主避難の枠組みからはずれる地域でも基準を超える汚染が判明しても政府は、該当住民は少数だから、この枠組みの変更はしない、という。これら一連の流れは、「人」(住民)を守ろうというのではなく、ある程度は犠牲になってもらうという姿勢を示すものなのかと疑われかねない。放射性物質の拡散シミュレーションや、高濃度地域のデータなどを公表するとともに、もう少し細かくデータ測定てシミュレーションをさらにきちんとして細かく地域住民の立場に立った対策を!
(4)NHK4月5日夜の報道に、福島原発での放射線管理に携わる作業者の
、「線量計が振り切れて建屋に入れない、建屋外に転がっている破片が高濃度の放射線量、普段なら3分で済む仕事も30分、1時間とかかる」など高濃度に晒されている実態の報道あり。
かっての原発労働現場責任者の遺稿が出回っています→http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html#page1 ここの内容は、時系列などが整理されていないなどで、すべてが記述の如きであるかのような誤解を与えかねない記述もありますが、ひどい労働実態にあったことは事実であったでしょう。(現在の福島でも、線量計を持たせないで、「平気で」?!!作業に向かわせる感覚を理解できるであろうか)。また、類似のものとしてはYouTubeに[隠された被曝労働~日本の原発労働者1]というのもあります。(参考まで)→http://www.youtube.com/watch?v=92fP58sMYus
懸命の作業者には敬意、しかし、東電は人権(命)尊重を!
(5)放射線管理労働者の証言による建屋内外の線量の高さからみると、これまでなされてきた事故経過説明が正確であったか?
の疑問も出るのではないか。すなわちこれまでの放送などでの一般的なテレビなどでの説明では、炉心・燃料棒融解→ジルコニウムと冷却水との反応から水素発生→容器を抜けて建屋内蓄積→水素爆発という流れとしてされていた。使用済燃料の貯蔵プールについては、(高温化による水の蒸発消失→危険だから冷却水供給が必要)としかなく、燃料棒融解が起きたかどうか不明。つまり建屋内外の放射性物質は、どこからきたのか?炉心起因か貯蔵プール起因か、それとも両方?そろそろ、周辺のデータで、どこからの核分裂生成物が建屋外に出たのかを判断できるのではないか。もし、貯蔵プール起因が関係してくると、一つには水素爆発により炉内気中の放射性物質が建屋外にでただけという理解は修正せざるをえなくなり、また、今後の原発サイトの全体的なシステムの安全設計の考え方も変更しなければならなくなろう。・・・・後手後手の東電・政府・安全委員会・保安院には、まだこうした発想でデータ収集していないのか。あるいは、分かっていても公表していない、もしくは投稿者の杞憂か?今回の「事故像」を明解にすることは、今後の避難対策にも関わる。
(6)全体推移がわかるデータの計測と公表を。
海陸とも、福島原発サイトから遠いところのデータも必要であるが、サイト内の状況変化がどう推移しているかを知るには同時に20Km以内とか、海での放水点から比較的近いところのデータも測定公表すべきである。単に人が、そこにいるかいないかではなく、全体を正確に把握するにはどうすればいいかをきちんと考えるべきである。 (本投稿kmt)
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福島原発事故・米カルフォルニア大Monreal教授講演・当面の諸問題
東北関東大地震と福島原発事故による被害は地震以来すでに25日になりますが、大規模広域被害と放射性物質の拡散によってなお深刻な事態が続いています。
若干の原発関連の情報提供と意見を紹介します。
(1)米カルフォルニア大B.Monreal教授が3月16日に原発に関する基礎知識の講演会を開催
。適切な内容だということで日本の素粒子物理学者たちが翻訳し、閲覧できるようになっています。http://ribf.riken.jp/~koji/jishin/zhen_zai.html ただ、注意すべき点は3月16日時点の講演ということと、その後若干の翻訳上の改訂がありますので、閲覧上はHP上で留意点も併せて見て下さい。これからダウンロードできます。
また、この講演は福島原発事故は、チェルノヴイリのようにはならない(原子炉方式は別にして)ということが主眼であるようで、これで現実の「福島」周辺の危険性や問題点を全面的に解析したものではないということです。
(2)緊急炉心停止装置が働き、チェルノヴイリのようにならないとしても被害は甚大であること
を無視すべきではありませんが、今後の被害拡大を防ぐためには、測定データや事故後の放射性物質の拡散シミュレーションデータなどきちんと公開されていないことは非常に問題で、こういうことでは、公表データの信頼性も疑われかねなくなります。IAEAの飯舘村での測定データに、ただちに噛みついた後の経由も不透明です。前から主張しているように、東電や一部の政府関係者がデータの判断権を握るのではなく、国内外の専門家が「社会的属性」とは」関係なく、科学的に議論できる科学者の組織を早く作り、現在の社会がもっている科学的な力を総結集することです。その際、従来原子力や政府施策に批判的であった科学者を切り捨てないことです。これは、原発サイトでの事故処理だけでなく、周辺住民の被曝問題に関しても同様です。「直ちに被害を与えるものではない」式の瞬間的だけではなく蓄積および予測を考慮した説明をどうするか、ICRP(国際放射線防護委員会)基準の問題、国内の暫定値の問題等きちんと議論すべきでしょう。
(3)東電には、人間尊重の考えをさらに徹底して事故処理に当たらせるべきです
。作業中に測定器を持たせなかったなど、論外です。どうしてこんな考えになるのでしょう。かっての「原発ジプシー」的な下請け作業員へのしわ寄せ思想が未だに、しかも国民注視の現在、堂々と行われるなど、信じられないと言わざるをえません。これで「東電の技術者であることに誇りをもてる」などどうして言えるのでしょうか。こういう思想では、事故処理もあいかわらずちぐはぐで後手後手に終始したり、満足な事故処理はとうてい期待できません。
(4)事故処理は、上記(1)に説明される「炉心の科学」問題だけでなく、技術的問題であり、体系的発想が強く要求されています。
この点からの対応上の再検討と、そのための全国的および、部分的にはすでに始まっていますが国際的規模での技術的力と、東電を超えた技術者を集めての対策体制をとることを望むものです。
(5)高橋智子「原発事故で何を語るのか」
高橋智子さんが稿を寄せて頂きました。↑クリックして下さい。
(6)ドイツのNagase-Reimer Keikoさんからは、ドイツのリアクション_20110401を知らせて頂きました。(←クリックしてください)
また、永瀬さんからは、ライプニッツ共同体やフンボルト財団、マックス・プランク研究所などのドイツの科学者が日本の科学支援をアピールする運動を展開しているとの情報も知らせて頂きました(→NIPPON Science Support Network)
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東北大地震被災者救援・福島原発事故拡大回避に総力を
『科学史技術史通信』No.16 (2011.3.19発行) より。
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技術政策の貧困ー「科学技術」と「科学・技術」によせてー 木本忠昭 2010.12.19
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科学技術と科学・技術をめぐって ・・・・・・日本学術会議の提言と勧告 をめぐっての議論です。 高橋智子(山梨大学医工学研究部)
2010.12.16
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古代日本の通信・・・『令義解』(833年)にある「烽(飛ぶ火)」装置の「筒」のことを知りませんか。(上 文頭をクリックしてください)
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2010.7.16 大阪地裁は水俣病認定判決で、国の認定基準を否定した。しかし、熊本県は、22日大阪高裁に控訴、さらに争いが続く(国も同調の様子)。これは、社会の中における「科学の存在形態」、あるいは社会の中で科学はどのように機能するかという問題に鋭く係わる問題であり、科学史技術史的にも、水俣病をどのように記述すべきかは大きな課題となってきている。近年は、水俣病を、Steve Fullerの科学の「ガバナンス論」の援用的視点から見て、国はガバナンスに失敗したと論ずる向きもある。しかし、ガバナンス論はいかにも「上から中立的に」科学を行政的にうまく統御しようと思えばできるのだが水俣病では失敗した、というように聞こえかねない(著者の意図は理解できるが今ひとつ不満)。『科学史研究』の最新号(第49巻夏号(No254)には、すでに究明されていることではあるが、「水俣病総合調査研究連絡協議会」は、有機水銀説をあいまいにする役割を担ったとの論文が掲載されているが、水俣病をめぐっては国は決して中立的な対応をしてきたのではない。国は「事件」の一当事者として事に対応しており、水俣に関する「科学」への対処ではなく、昨年成立した新救済法や患者団体との交渉をどのようにするかという具体的(課題)対処から、「控訴」するのである。つまり、科学は一人歩きするのではなく、社会の諸活動に「付随する」(ないしは一環である)ものとしてとらえるべきではなかろうか。・・・・・・・以下→続きはクリック)(木本忠昭記)